以前東京を訪れた際に、ある焼き鳥店『焼鳥 篠原』に連れて行ってもらった。

レストランは名店ひしめく西麻布エリアにある。土曜の夜、20:30の2部を予約したが、5分前に到着してもすでに10人以上が店の外で待っていた。繁盛しているようで、満席だった。
この店は希少な無菌鶏——『京都高坂鶏』を使うことで知られている。世界で唯一、安全かつ無菌で、1ヶ月熟成させても生食基準を満たせる鶏肉だという。クリーミーな食感が特徴で、紹介文ではマグロの大トロに匹敵するとまで形容されていた。

高坂鶏の開発者である高坂英樹氏は、信頼するシェフにしかこの鶏肉を卸さないため非常に希少で、『幻の鶏』とも呼ばれている。
レストランの公式サイトでは、自らを『焼き鳥懐石』、コース制と位置づけている。刺身と紀州備長炭で焼き上げる焼き鳥を中心に、高坂鶏を使った様々な酒肴や釜飯も織り交ぜられ、価格は16,000円。
ペアリングを追加すると、日本酒7種でこちらも16,000円だった。

京都高坂鶏のワンタンスープ

白和え|シャインマスカット、ブルーベリー

着席後、まずワンタンの澄まし汁が運ばれてきた。美味しい肉の鶏が、必ずしもスープに向いているとは限らない。味わいはかなり薄く、ワンタンの皮もやや厚めだった。
しかし続いて出てきた小さな白和えは嬉しい驚きだった。果物の澄んだ甘さが実に心地よく、豆腐のミルキーさとほのかな甘みに、少しガーゼのような食感が重なり、全体として明るくバランスの取れた一皿だった。

高坂鶏の刺身

鶏肉の刺身盛り合わせには、砂肝、レバー、もも肉、むね肉が用意されていた。後者の2つはさておき、生食できる鶏の内臓を見たのはこれが初めてだった。


砂肝は深い赤色をしていながらも、端の方には隠しきれない鮮やかさがあり、記憶に残るコリッとした食感だった。レバーは見るからにピンク色で、表面の処理も清潔感があり、ごま油と合わせることで繊細さがより際立っていた。
どちらの内臓も非常に印象的で、鶏肉の品質の高さを一撃で証明していた。

もも肉は可もなく不可もなくといった印象だったが、意外だったのはむね肉。筋繊維がもっとはっきりしているかと思いきや、締まっていながらもふんわりとした綿のような食感だった。

もも肉のタルタル、醤油漬けのほおずき
牛肉タルタルの定番の組み合わせをアレンジし、卵黄もジューシーなほおずきにアップグレードしている。だが期待していた組み合わせの割に、食べてみるとあまり印象に残らなかった。

焼き鳥|肩
焼き鳥は鶏の肩肉から始まった。炭の香りと脂のバランスが非常によく、薄い皮は文句なしのパリッと感、肉汁は口の中で弾けるようだった。
一気に、美味しい焼き物への欲求が呼び起こされた。

2年雪下熟成じゃがいも

じゃがいものホクホク感とさつまいものようなほのかな甘みを併せ持ち、口に入れると、最後にごくわずかに発酵の酸味が香った。地味に見えて、まったく普通ではない小さなじゃがいもだった。
飛露喜の特別純米が合わせられ、スパイスのような香りが引き立ってなかなか面白かった。

茶碗蒸し
茶碗蒸しの卵は東京の北、埼玉県の田中農場から。『郊外の農園の大きなスイカを使っています』というのと似たようなコンセプトだ。
ただここで触れておきたいのは、篠原シェフが実際に生産者のもとへ足を運び、自らの目で食材の生産と品質を確認することを大切にしている点だ。
良質なチーズを求めて北海道まで、良質なハーブを求めて広島の『梶谷農園』まで訪れたこともあるという。生産者と直接コミュニケーションを取ることで、食材本来の個性をより良く引き出している。

茶碗蒸しの表面はなめらかでつややか、シンプルで清潔感があり、見るからに食欲をそそる。食べてみると香ばしく柔らかいだけでなく、ほのかにミルキーな風味も感じられた。
最後の一さじをすくうと、器の底に隠れたモッツァレラが現れた。小さな一杯の茶碗蒸しに、一口ごとに細やかな心遣いが込められていた。

焼き鳥|赤身

焼き鳥|むね肉

焼き鳥|ちょうちん

茶碗蒸しの後、ようやく焼き鳥の本編が始まった。
赤身はもも肉の内側の、取れる量が少ない部位で、肩肉よりも締まった食感。むね肉はほんのりピンク色で、わさびを添えると肉の柔らかさが際立った。

ちょうちんは本当に美しかった。外側はほんのり火が入り、中は完璧なとろけ感、濃厚でコクがあった。

焼き鳥|せせり(鶏尾)

焼き鳥|はつ(心臓)

焼き鳥|砂肝

続く3品、せせりは一口でパリッと、脂の香りが口いっぱいに広がり、はつは炭火の香りをより際立たせ、砂肝は噛むと音が聞こえるほどコリコリだった。
篠原の焼き鳥の塩使いは本当に控えめで、わさびとおろし生姜を交互に合わせることで、肉の食感と風味をちょうど良く引き立てていた。

鶏レバーペースト、くるみパン

湯葉、ブルーチーズ、はちみつ

鶏のタタキ
焼き鳥の合間には、何品かの料理も挟まれていた。
鶏レバーペーストはミルキーさと繊細さが満点で、後味にはほのかな甘みも残った。炙ったブルーチーズはとろりとした状態で実に魅力的、はちみつとの組み合わせも定番だが、チーズの質が一皿全体の足を引っ張ってしまっていた。もも肉とむね肉を合わせたタタキは、中心の生に近い部分がほんのりピンク色で、極めて柔らかく、酒に合う一品だった。


手羽先

小さな焼き鳥店でLVのコースターを使っているだけでもかなり大げさだと思っていたが、なんとスタッフが今度はLVの小さな箱を抱えて登場。中には次の手羽先のために用意された黒い手袋が入っていた。

酒肴の出来にはやや波があったものの、篠原の塩焼き焼き鳥のレベルは常に安定していたと言わざるを得ない。手羽の端はこんがりと焦げ目がつき、皮下の脂は油としてじゅわっと溶け出し、肉の柔らかさもちょうど良かった。
これはまさに夢にまで見た完璧な手羽先だった。

春巻き

つくね

春巻きは大きく失敗していた。揚げた後の硬さは、まるで冷凍のワンタンの皮を使ったかのようだった。
一方、つくねは少し嬉しい驚きだった。丸い形が皿の上でちょこんと立っている様子が可愛らしい。かじって中心まで到達すると、肉はまだほんのりピンク色の状態だった。
ほどよい塩加減が炭火の香りと脂をうまくバランスさせていて、満足感があった。

軟骨

食道

せせり(首肉)
せっかく訪れた店だったので、追加で3部位の焼き鳥を注文した。食道のコリコリとした食感が実に見事だった。
焼き鳥を食べている間、副料理長が大きな土鍋を抱え、いつもの人懐っこい笑顔でその夜の釜飯を客に披露してくれた。


釜飯

鶏ガラそば
主食は2品。釜飯は鶏肉に旬のししとうを合わせ、バターコーンで香りを添えていた。具材は豊富だったが、味わいはそれほど魅力的ではなかった。
むしろ印象に残ったのは鶏ガラそば。冒頭のワンタンスープとちょうど呼応するような鶏の出汁で、表面にはうっすらと油が浮き、明らかに香りが引き立っていた。麺はやや硬めに茹でられており、一杯食べ終えると、ちょうど良い満足感が残った。

食事全体を通して、流れるようにスムーズな体験だった。
どの料理にもシェフの技術と心遣いが感じられ、焼き鳥の火入れも満足のいくものだった。カウンターの客の多くは常連らしく、7種のペアリングも決して手を抜いておらず、確かにコストパフォーマンスは良かった。
今のところ予約はまだ比較的取りやすく、また来たいと思わせる店だった。

焼鳥 篠原
〒106-0031 東京都港区西麻布1丁目4−40 西麻布篠ビル 1F
17:30〜20:00/20:30〜23:00
www.yakitori-shinohara.com
Omakase ¥16,000
Pairing ¥16,000

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