どんな日本の料理人にも東京の夢があり、どんな東京の料理人にもアメリカの夢がある。ここには自分の夢見た街に根を下ろす人も多いが、一、二年後にひっそりと故郷へ戻っていく人も少なくない。
「水づき」は成功例と言っていいだろう。かつては岐阜県ナンバーワンの店だったが、東京の“ニューマネー”が集まるエリアに店を構え、今ではすでに1ヶ月以上前の予約が必要な状態になっている。

オーナー兼大将の水木淳二氏は、有名焼き鳥店での修業経験はないが、地元・岐阜県での12年間の営業で広く評価を集め、ミシュランのリストにも名を連ね、地元屈指の予約困難店となった。2024年末、50代半ばを過ぎた水木さんは東京に店を開いた。
一見のんびりとした銀髪のおじさんが、こうして自らの力だけで東京まで辿り着いた。彼の焼き鳥は独自のスタイルを持っていて、豪快でありながら炭の香りで塩気を支え、それでいて中心部には常にわずかな半生の新鮮さを残している。本当に、確かな考えと粘り強さを持ったおじいちゃんだ。

近江地鶏 むね肉 もも肉

すっぽん松茸の鶏スープ
時間通りに席に着くと、水木さんはすでに炭を熾し終え、焼き始める準備をしていた。
どちらの部位も近江地鶏だった。もも肉はまだほんのり桃色を残していて、外側の塩は大胆にかけられ、噛むとしっかりと弾力がある。むね肉には小さなパリッとした皮がついていて、燻香もはっきりと感じられた。
鶏の香りと肉の食感がしっかりと感じられる幕開けで、口の中の爽快感が一気に燃え上がった。

むね肉のカツレツ+ブルーチーズ
一つ目の意外性は、揚げ物にむね肉というしっかりとした部位を選んでいたこと。二つ目は、ブルーチーズというインパクトのある味付けを使っていたことだ。
軽やかな衣に、火が入ったばかりのむね肉。鶏肉本来の繊維は崩されておらず、ここではその弾力ある柔らかさの一面を見せているだけだ。カツレツは非常に軽やかに揚げられていて、箸だけで割ることができた。
ブルーチーズはいつも通りの個性的な香りだったが、そのクリーミーな食感が、サクサクの衣とむね肉のどちらとも明確な対比を作っていた。
食材の状態を的確に表現していて、二度と再現できないタイプの美味しさだった。

鶏の白レバー

つくね

赤身
青草のような香りをまとった白レバー。つくねは締まっていて肉の香りが豊かで、食感も柔らかい。赤身は外はパリッと中は柔らかく、たっぷりの塩の下から鶏の旨味がはっきりと感じられた。
最初の一串から、水木さんのスタイルがはっきりと感じられた。手つきは落ち着いていて的確で思い切りがよく、外は香ばしく中は柔らかい、力強い味付けとバランスの好例だった。
どの串も外側は炭の香りに包まれていながら、芯にはわずかに半生の状態が残っている。塩は思い切りよくかけられているが、それによって引き立つ鶏の味わいはちょうどよかった。


肩

骨付きもも肉

舞茸
大きな肉が焼き台に乗っていると、いつも際立って目を引く。脂を滴らせる何切れかの肉を、水木さんは近火と遠火の間で何度も切り替え、ひっくり返し続け、なかなか卓上に運ばれてこない。
大きな骨付きもも肉は、近火と遠火の間を行き来することで、まず炭火焼き、その後燻製のような工程を経ている。広がった皮は、爆ぜるような脂の香りを放ちながら、ほとんどパリパリになるまで焼き上げられている。骨から外した肉にはまだ血の色が残り、極めて柔らかい。鶏肉の質感、鶏脂の香り、そして炭の香りが見事に表現されていた。
一方の舞茸は、意外にもかなり甘口で、山野の味わいを巧みに引き出していた。

銀杏

皮

豆腐

ぼんじり
皮とぼんじりは脂の比率が最も高い二串だが、水木さんのメニューではむしろそのパリッとした食感と弾力がより前面に出ていた。
濃いタレをまとい少し焦げ目のついた皮の脂はパリッとしていて、塩を効かせたぼんじりは、香ばしい歯ごたえと口に入れた瞬間に溶ける脂を一つに結びつけていた。
豆腐も手を抜いていない。炭火で軽く炙った後、肉そぼろ、みょうが、香味ねぎ、大葉と和えられていて、香ばしく柔らかい中に炭の香りをまとった小さな幸せがあった。

海老芋

食道

セセリ
水木さんが近火と遠火を実に見事に切り替えているのが見て取れる。どの部位の扱い方も、まるで体に染み付いた記憶のように熟練していた。
使われている鶏肉自体、脂のつき方が美しく、上質な鶏らしい香りが十分にある。皮は常にちょうどよい焦げ香を保ち、肉は半生でとろけるように柔らかい食感を持つ。燻香もまた重要な加点要素で、水木さんの焼き鳥には、鶏肉にヴェールのようにまとわりつく燻製の気配がある。
味が濃いと文句を言いたくなることもあるが、串を一本また一本と食べ進めるうちに、幸福感で満たされていく。

岐阜蕎麦

すっぽん松茸雑炊

チキンカレー
水木さんのメニューにはすでに主食が2品用意されている。そのうちの一つは、故郷・岐阜から来た蕎麦だ。
麺はしっかりと締まっていて、なめらかな喉ごしだ。最初の一口はわさびと塩で和え、口いっぱいに蕎麦の香りが広がる。その後、出汁に浸してたっぷりの生ねぎと絡めると、香ばしさに加え、蕎麦特有のつるりとした柔らかさと、わずかに雑穀のような噛みごたえが実に純粋な味わいだった。
追加の主食にはカレーを選んだ。鶏肉の東南アジア風カレーで、たっぷりのご飯が多彩なスパイスを支えている。味は濃いが、香りも豊かだった。


全体を通して、水木さんの料理はやはりとても気に入った。豪快でありながら丁寧だ。食材の扱いには大胆さがありながら、細部の一つひとつまできちんと処理されている。
この板前に座って食事をすると、特に生活感というか、賑やかな熱気を感じる。例えば焼いている間、鶏の脂が炭に滴り落ちて煙が立ち上るのが絶えず見えるし、時には明るい炎が上がることもある。店では塩使いが思い切っているが、たっぷりとかけられる塩はいつもちょうどよい塩気になる——それは使っている塩があらかじめ減塩処理されていて、塩分濃度が下げられているからだ。
この記事を書くにあたって、水木さんの過去のインタビューもいくつか掘り起こしてみた。店がオープンしてまだ11ヶ月しか経っていないにもかかわらず、鶏肉の調理法は絶えずより高いレベルへと磨き上げられ続けているようだった。
追加注文はいつも20種類以上の選択肢があり、水木さんはどの部位の火加減と表現したい味についても、ほぼ手慣れた様子でこなしていく。長年の経験の積み重ねから来る理解だ。
「焼き鳥を食べるって、こんなに爽快なんだ」と思わせてくれる店だ。全体の満足感は非常に高く、インパクトも多方向から押し寄せてくる。
お腹を多めに空かせてから来ることを強くおすすめする。あと、お酒を飲む方には、ワインや日本酒はいっさい諦めて、迷わずハイボールを選ぶことを強くすすめたい。
水づき
東京都港区白金6-23-2 白金宏和マンション 1F
Friday – Tuesday
17:30 PM -11:00 PM
Omakase Menu 13,200 JPY

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