東京トップ5の焼き鳥店の中でも、とり茶太郎はかなり個性の際立つ一軒だ。
⭐️大将は29歳で焼き鳥業界に転身。この「遅めのスタート」が、かえって表現の輪郭をはっきりさせている。コース全体は鶏の部位の食べ比べであると同時に、品種同士の食べ比べでもある。
店で使う鶏は実に六種類——比内地鶏、一黒軍鶏、月山軍鶏、名古屋コーチン、ホロホロ鳥、茨城のかすみ鴨……その日の状態がいいものを使い、同じ席で同じ部位に二種類の鶏が上がることもある。そんなコースの組み立てが、一晩通して「横に広がっていく」ような高揚感を生んでいる。


🔥茶太郎のスタイルは力強い。強火・近火でまず香りを弾けさせ、そこから脂で甘みを押し出す。肉は大ぶりで締まりがあり、皮は潤いがありながらもくどくない。精緻でありながら痛快。高級な焼き鳥居酒屋のような佇まいで、空気はゆるやかなのに、表現は力強く、細部はすべて火加減と構成の中に隠されている。


🐓例えばホロホロ鳥はこの一食の中で四部位に分けられ、コース全体に散りばめられている。胸肉はしっかりとした食感、もも肉は厚みがあり、脂の香りと肉汁感がより豊か。横隔膜はニンニクの芽と合わせ、香り同士が強く共鳴する。白レバーは中心がまだピンク色を保つ火入れで、チーズと合わせるとミルキーさが際立つ。合間に挟まれる酒肴は鶏肉そのものの旨みを単独で見せる一品で、海苔、春菊、かぶらを添え、意外なほど爽やか。



一羽の鶏を、メニューのふさわしい場所ひとつひとつに解体し、異なる味付けと組み合わせで、肉質・脂・燻香それぞれのバランスを見つけ出す——そんな仕事ぶりだった。


🧑🍳組み合わせの発想も、金子大将ならではのもの。
序盤はよりふっくらと粘りのある鴨つみれ汁に揚げ椎茸を添え、香りをじんわりと広げる。鴨ロースの炙りには芥子の実を使って肉の甘みを引き立て、赤褐色の断面には脂の細い筋を一本挟み込み、味わいに立体感を持たせる。スナップエンドウにはチーズを合わせ、熟成のコクで豆の瑞々しさを受け止める。定番の「つくね+卵黄」は、半熟のうずら卵を別添えにする形にアレンジ。卵を一口、つくねを一口——黄身を割る快感を口の中に委ねることで、幸福感がより増幅される。
🦆最も意外だったのは、鴨の胸腺と大根の漬物の組み合わせ。小さな胸腺が口の中で弾け、濃厚でありながら雑味が一切ない。漬物がそこに割って入り、脂をすっと切ってくれるので、食べるほどに酒が進む。この組み合わせには、十分に新鮮な食材と、それを迷わず選び取る自信が求められる。




🥂酒のラインナップも手を抜いていない、十分に面白い内容。日本酒はとり茶太郎のために仙禽が造った特別誂え、さらに小左衛門の焼き鳥店向け特別銘柄まであり、ラベルは金子大将自らのデザインという。ワインは「大物」の名前を追いかけるタイプではないが、グラス単位で焼き鳥との相性が非常によい。焼酎も悪くない選択肢が揃っている。銀賞店の水準に十分見合う酒リストだ。


とり茶太郎
¥14,000++(20品コース)

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