• 大阪|このレストランでは、肉より野菜の方が魅力的だった

    大阪のレストランは、焼き鳥も寿司も1ヶ月前にはもう予約が取れない。寿司は引き続きHoshiyamaを予約、夕暮れの大川の景色を眺めながら、星山正致さんが握る江戸前寿司をいただいた。安定感のある仕事ぶりは、いつも目を閉じて信頼できる。

    もう一食は、大阪で唯一アジアのベストレストラン50に選ばれたレストラン、ミシュラン二つ星のフレンチ「La Cime」に決めた。

    La Cimeはフランス語で「頂点」「頂上」を意味する。「客」「料理」「空間」という3つの頂点のバランスを取り、完璧な三角形を築くことで、最終的な表現が最も美しい状態に達すると考えているという。

    予約の際、「稽古照今 – Keikoshoukon」という言葉を目にした。日本最古の史書にある一節で、「いにしえを省み、今を照らす道標とする」という意味だそうだ。

    Bondindog

    始まりは真っ黒な小さなドウ。可愛らしい見た目で、スタッフが一生懸命英語で説明してくれたが、結局そのまま食べることに。

    食感は柔らかいものの、香りは予想を完全に超えた力強さ。典型的な日本風の葱とニンニク油の香りが脳天を突き抜けた。

    Yellowtail / RiceBran / Tonburi

    アミューズ3品。ハマチの干物、黒く輝く小さな粒はファインダイニングの定番であるキャビアではなく、とんぶり(ホウキグサの実)。食感の面白さがあり、下に敷かれたブリオッシュも噛みごたえがある。開幕から旨味と食感の小さな爆弾。

    芥藍とブロッコリーの子であるブロッコリーニで一度口を清め、その後はマッシュタケのサンドイッチ。海から一気に草原へと舞台が変わり、また別次元の旨味の一撃。新鮮なマッシュタケの瑞々しい食感の中に、馬肉がわずかに繊維質な噛みごたえを潜ませていて、野性味がプラスされている。

    Squid / Kumquat / Herbs

    イカの薄造り刺身にハーブを添え、新鮮さを引き立てる。だがそれ以上に面白かったのは横に添えられたスープ。

    見覚えがあると思ったら、冬の燗酒に使う「イカ徳利」だった。意外な燻製香と干物のような旨味が、柔らかいジュンサイを立体的にしていた。

    Onion / Wagyu / Hop

    この一皿のテーマは牛肉だと思っていたら、主役はまさかの玉ねぎだった。

    海苔にミニ玉ねぎを添え、口いっぱいに野菜由来の甘みが広がる、美しく澄んだ味わい。オニオンクリームをスプーンで割ったときの滑らかさが心地よく、レモンの酸味も瑞々しく爽やか。乾燥牛肉を包んだオニオンブレッドと合わせても良い。

    玉ねぎとホップで作ったスープが、途中の口直しに。最後にようやく牛肉が主役に――乾燥牛肉は爆発的な脂の感覚を与えながらも、柔らかさを保っていた。

    ここまで食べて、野菜の鮮度と風味を引き出すレストランの表現力と想像力をすでに感じ取れた。

    Watereress / Bonito / Rice

    メニューを見て、魚と米を合わせた寿司の延長線上の一皿かと思いきや、カツオは単独で登場し、紫蘇の花を添えて酒肴として供された。

    一方、豆苗と米で作ったおにぎりは非常に見事で、野菜の新鮮さと米の旨味がそれぞれを引き立てていた。

    Bamboo Shoot / Oyster / Coconut

    またしても定石を外してきた。筍を主体に、牡蠣とココナッツミルクのソースを添えた、タイ風味をわずかに感じる一皿。ただ、ここの筍の瑞々しさと歯切れの良さは、国内で食べるものと比べるとやや弱かった。

    Green Peas / Fava Beans / Japanese Butterbur

    ファインダイニングで一皿丸ごと野菜という光景はなかなか見られない。そら豆豆腐は塩気と旨味がしっかりしていて、きめ細やかで瑞々しい質感が口の中を軽やかに通り過ぎていく。

    揚げた山蕗は香りも歯切れの良さもあり、少量のグリーンピースが甘さを添えて、印象に残る一品だった。

    Asparagus / Spot Prawn / Pomelo

    牡丹エビのねっとりとした甘さとアスパラガスの歯切れの良い甘さ、出汁は強めのハーブ感がありながらも両方の食材の鮮度をしっかり支えていて、全体として楽しく上品な仕上がり。

    柑橘系フルーツで口を清め、後半は新鮮なアスパラガスのタルタルへ。瑞々しい歯切れが第一印象で、土台の生地は噛むほどに香ばしさが増していく。

    2つの調理法を通して、アスパラガスの風味がとても好ましく表現されていた。この日で最も印象に残った一品の一つと言える。

    Scallop / Sake lees / Sea Grape

    今年に入って2度目となる、帆立とパンを合わせた一皿。またしても見事な組み合わせだった。

    この皿もシェフのスタイルを踏襲していて、帆立の実そのものは登場せず、gnocchiの中に旨味として使われるのみ。酒粕で作った出汁を添え、パンをそのスープに浸して食べると、鮮度とブリオッシュのバターの風味が絶妙にバランスしていて、まさに完璧だった。

    Red Bream / Okinawan Spinach / Japanese Fir

    ようやくメインディッシュ、キンメダイに揚げた干しほうれん草を添えた一皿。正直、この魚の火入れはパサついているとしか言いようがなく、いっそ主役をほうれん草に変えた方がシェフの実力がより発揮されたのではと思わせるほどだった。

    ただ、添えられたチップはシェフの実力をしっかり見せてくれた。海苔でクラッカーを作り、パクチーをたっぷりかけ、パッションフルーツを添えて――一言、香ばしい!

    先ほどのアスパラガスのタルトと通じるところがありながら、また違った個性を表現していた。

    Turnip / Duck / Green Onion

    大根干しと鴨のスープ、鴨肉の餡。清潔感があり見た目も美しいが、正直なところ香りも味も特に印象に残らなかった。

    Kumamoto Beef / Artichoke / Zucchini

    ここまで食べて、正直シェフの肉料理には少し期待を下げていた。

    最後に熊本の牛肉が登場、母と目を合わせて――まあ、食べようか、と。

    意外にも牛肉のきめ細やかな繊維感に一気に心をつかまれた。ソースが肉の旨味の中にミルキーな風味を引き出していた。期待ゼロから感動に変わるのに、本当に一口で十分だった。

    Miki(Rice) / Sweet Potato / Crucian Carp

    Strawberry / Vanilla / Nigella

    デザートは一転して、これまでの一品ずつのスタイルから、一皿に全て盛り込むスタイルに。

    サツマイモは印象に残らなかったが、いちごは見た目こそ甘ったるそうで実はさっぱりとしていた。フレッシュいちご、発酵いちご、濃厚ないちごソースと、酸味と甘みの異なる層が交錯しながらも、いちご本来の爽やかさが最後まで一貫していた。

    マシュマロでバニラアイスを挟み、いちご果汁でひと泳ぎさせたような一皿。その透明感は忘れがたいものだった。

    食事全体を通して、想像を超える体験だった。コロナ前のランチのコスパの良さこそなくなったが、日本の野菜の個性を引き出すフレンチの思考を探ることができたのは、とても貴重な体験だった。シェフが肉よりも野菜の表現をずっと楽しんでいることがはっきりと感じられ、メニューが変わったらまた訪れたいレストランだ。

    そうそう、店を出て左に曲がって角まで歩いたところにあるパン屋も要チェック。今回の食事の経験からすると、あそこのパンも間違いないはず。

    La Cime

    〒大阪市中央区瓦町3-2-15 瓦町ウサミビル1F

    月曜〜土曜

    12:00〜15:00

    18:00〜22:00

    www.la-cime.com

    シェフズメニュー ¥35,200

  • 大阪|大阪へ行くならこの店で美味しいお酒を探して

    日本旅行の必修科目といえば、日本酒を買うこととSake Barめぐり。今回は大阪の9軒を紹介、立ち飲み居酒屋、酒場、酒販店、さらにワインショップやワインバーも含めています。

    このガイドがあれば、大阪でのお酒選びに迷わないはず。

    どこで飲む

    大衆酒場 マルリキ

    ポン酒タグラム The Bar

    日本酒と麹スタンド Sake Koji

    浅野日本酒店

    心白 心斎橋店 SHINPAKU

    どこで買う

    山中酒の店

    島田商店

    どこで見つける🍷

    Takamura Wine & Coffee Roasters

    NOAM Wine Bar

    大衆酒場 マルリキ

    〒530-0041 大阪市北区天神橋4-5-6

    電話・INS予約|ウォークイン歓迎

    旬の活魚料理を中心とした大衆酒場で、大阪の居酒屋の中でも店舗数がもっとも多い。まず注意したいのは、行くべきは天神橋筋四丁目の本店だということ。

    定番から希少な酒まで、常時100種類以上のグラス酒が揃う。甘みの象限で分類した比較フライトなど面白い企画もあり、新政・而今・十四代など人気銘柄の飲み比べも。もっとマニアックに攻めたいなら、珍しい地酒の飲み比べも試せる。

    予約が取りやすく年中無休。日本ではなかなか飲めない飲み比べセットや、美味しいつまみも揃っているので、日本酒好きなら大阪滞在中に一食分は空けておきたい。

    ポン酒タグラム The Bar

    〒542-0061 大阪市中央区安堂寺町1-3-13 谷町もりおかビル1F

    電話・INS予約|22時以降はウォークイン歓迎

    実直な街・大阪で、友人のすすめで見つけた個性的で肩肘張らないSake Bar。オーナーはとても社交的な日仏ハーフで、Googleマップの客単価は一見高く見えるが、食事代も込みという事情がある。

    定番のラインナップは新しめの実験的な銘柄が多く、希少な酒がグラスで飲めることも。例えば今年発売された新政Type Aは、発売2日目にはもうグラス提供されていた。出荷量がごく少ない産土も、4号・5号・6号の3本を同時に開けて飲み比べができ、フレッシュな状態が完璧にキープされていた。

    店舗のInstagram(ponshutagram_bar)を直接フォローするのがおすすめ、新着情報が絶えず更新されている。

    店内は2人掛け席の設計で、一人で訪れる女性にもとても優しく、安心感がある。

    料理は単品メニューが充実しているほか、5,500円のペアリングセットも用意。何品か試した感想としては、混血のおじさんが厨房で頑張って炒め物をしている姿は見られるものの、事前にお腹を満たしてから来ることをおすすめしたい。

    日本酒と麹スタンド Sake Koji

    〒541-0048 大阪市中央区瓦町4-5-4 マスザキヤ瓦町ビル2F

    電話予約|ウォークイン歓迎

    小さな立ち飲みの店。入るとすぐ店主の利き酒師の資格証が目に入る。週末の夜でもそれほど混んでいなかった。

    棚の本やメニューを見ると、店主が学究肌の人だとわかる。酒のセレクトは伝統的なものが中心で、グラス酒の数はさほど多くないが、味わいの象限は十分にカバーされており、データの網羅性も初心者が自分の好みを見つける助けになる。

    店構えは小さいながらも一通り揃っている。フードメニューは長くはないが、飲みながら口にするには十分満足できる内容で、麹を使ったつまみもいくつかあり、店主自身のアイデアが感じられる。

    日本酒初心者や友人と気軽に一杯楽しみながら日本酒の魅力を探るのにぴったりな入門店。

    浅野日本酒店

    〒530-0051 大阪市北区太融寺町2-17 太融寺ビル1F

    酒販店|ウォークイン歓迎

    日曜に営業している日本酒店は多くないが、ここは梅田から徒歩圏内。純米主義、一升瓶は扱わない、試飲もでき購入もできる、昼飲みフレンドリーでリラックスできる空間を目指す——賑やかな大梅田の中に自分たちで切り開いた小さな庭のような場所。

    店は大きくないが、2台の大型冷蔵庫にはグラス売りの酒がぎっしり、定番から頂点クラスまで幅広くカバー。産地や等級で細かく分類されており、明確で緻密なセレクトの論理が見て取れる。

    交通の便もよく、自分の日本酒の好みを知りたい初心者にも向いている店。

    飲み放題&プレミアム酒

    心白 心斎橋店

    〒542-0083 大阪市中央区東心斎橋1-2-19

    電話・サイト予約|ウォークイン歓迎(誰もいないので)

    この店をブックマークした当時は土佐堀店と心斎橋店の2店舗があった。前者は満席の日でも、後者は2組しか客がいないとは思いもよらなかった。

    店内はかなりシンプルで、食事の提供はなし。持ち込みか、隣がコンビニなのでそこで調達も可能。

    酒は2種類に分かれる。30分制の飲み放題は1.8Lの酒がいくつか用意されており、辛口からフルーティーなものまで、がっつり飲むタイプ。ショーケースにあるのはグラス売りの酒で、限定品もあるが、他店と比べるとコストパフォーマンスは高くない。

    友人との飲み会で飲み放題を楽しみたいなら向いているが、日本酒好きがじっくり飲みたいなら土佐堀店をおすすめする。

    山中酒の店

    〒556-0015 大阪府大阪市浪速区敷津西1-10-19

    酒販店|ウォークイン歓迎

    おそらく大阪最大の酒販店。創業50年、取り扱い銘柄は千種類以上。

    白い小さな建物の1階はガレージと倉庫、2階に上がると受付ホールがあり、コイン式でグラス売りの試飲ができる。セレクトは50種類以上、お試し価格として1杯110円はかなり良心的。

    見どころは3階。酒蔵は3ブロックに分かれ、火入れ酒・大吟醸・生酒をそれぞれ異なる温度の部屋で保管している。夏場に階段を上る前にダウンジャケットを取っておくことをおすすめしたい——生酒の保管室は年間を通してマイナス温度に保たれている。

    大阪で日本酒を買うなら外せない場所!

    島田商店

    〒550-0001 大阪市西区立売堀3-5-1

    酒販店|ウォークイン歓迎

    これぞ噂の「大阪のおじいちゃんの酒屋」。昭和29年(1954年)創業、今では70年の歴史を持ち、父子二人で切り盛りしている。吟醸酒・純米酒・本醸造酒といった特定名称酒が中心だが、近年は少量ながらワインやウイスキーも扱い始めている。

    店に入ると、おじいちゃんが地下の試飲室へ温かく案内してくれる。日本酒造りの道具や解説が数多く展示されている。父子とも英語が堪能で、220円/杯の試飲をすすめてくれるほか、テイスティンググラスと片口を使った飲み比べもガイドしてくれる。

    山中と比べると、浅田の品揃えは古酒・熟成酒により傾いている。30年熟成の月桂冠は、驚くほどの奥行きがあった。

    「じいさん酒」に興味がある人は必ず訪れるべき。米麹チーズを買うのも忘れずに。

    Takamura Wine & Coffee Roasters

    〒550-0002 大阪市西区江戸堀2-2-18

    ワイン販売店|ウォークイン歓迎

    予想外に本格的な精品ワイン+コーヒーの店で、大阪の酒好きなら必ず訪れたい空間。

    200平米の工業風の倉庫に入ると、入口にいくつもの大きな抽出マシンが並んでいる。デイリーワインから大手名門シャトー、さらに古いヴィンテージまでグラス(25〜50ml)で楽しめ、カードで自分で注ぐスタイル。価格帯は数百円から万単位まで幅広く、好奇心を満たすには十分。(ただし、あまり高価な銘柄は状態がいまひとつでコスパも良くないためおすすめしない)

    ワイン周辺グッズのエリアを抜けると、奥に保冷庫があり、3,500種類以上のワインから選ぶことができる。丁寧に探せば古いヴィンテージも見つかる。

    空間のもう一方には大型の焙煎機があり、ハンドドリップには受賞歴のある豆も。豆の品質は確かで、焙煎も丁寧。

    総合的に見て訪れる価値はある。時間と現金は多めに用意しておこう!

    Wine Bar NOAM

    〒542-0083 大阪市中央区東心斎橋1-17-27

    日宝ニューコロンブスビル2F

    Wine Bar|サイト・電話予約|ウォークイン歓迎

    国内の熟練ワイン好きから勧められたWine Bar。心斎橋にひっそりと佇み、雰囲気もとても良い。

    ボトル価格はワインバーとしては手頃な部類で、より魅力的なのはグラス売り。

    グラス売りは赤白各8種類、固定の銘柄はなく、売り切れると新しいものに変わり、基本的に重複しない。つまりグラスのリストはリアルタイムで入れ替わっており、店内で過ごす2時間の間、混雑時なら約30種類の中から選べることもある。平均価格は2,000円前後。

    ヴィンテージも産地も幅広く選べ、運が良ければコスパの良い掘り出し物の生産者や当たり年に出会える。

    さらに、なかなか良質な日本のウイスキーやジンも置いてあるので、お酒に強ければ試してみる価値あり。

    ワイン好きなら、大阪では食後の一軒として立ち寄るのもおすすめ。