日本北陸の旅では、富山であれ金沢であれ、寿司は欠かせない存在だ。








以前、金沢で寿司の新鋭店、鮨いくたを訪れた。金沢第2位にランクインし、産地に近い強みを活かして、食材のほとんどが地元産だという。また北陸最大の海鮮市場、近江町市場もある。600メートルの通路に約200の小さな店が並び、その半分ほどが海産物を扱っている。
富山の寿司については、以前からずっと気になっていたSOTO。寿司の名家出身で、ニューヨーク、ヒューストンで32年に及ぶ海外経験を積み、故郷に戻って『再創業』した小杉外博氏は、すでに63歳。ニューヨークと富山の両方でミシュラン二つ星を獲得しているという経歴に、尊敬と期待が入り混じった気持ちで訪れた。
もう一軒はまったく正反対のストーリーを持つ店、立ち喰い鮨 人人。価格はSOTOの5分の1(10貫の寿司で約200元)、立ったまま食べる『ファストフード』的な寿司店だ。大将の木村泉美氏は、かつて建築家だったが、途中で寿司職人に転身。Tabelog北陸第1位の寿司店『鮨し人』を経営していたが、昨年思い切って閉店し、30分で食べ終えられる、深夜0時まで営業する庶民的な寿司店を新たに開いた。
SOTO
Tabelog 3.82
🍣22,000 + 🍶4,000


胡麻豆腐

甘エビ

セビーチェ|真鯛、イカ、牡丹エビ
SOTOの夕食は予約時間の融通が利き、厳密な一部・二部制ではなく、16:30〜20:30の間で予約できる。例えば我々が予約した20:30の回では、入店時にまだ帰っていない客のテーブルがあり、小杉氏はそちらの寿司を握りながら合間に我々の酒肴を準備してくれた。
当日の夕食は酒肴12品+寿司10貫。さらに酒肴には10種のペアリングを4,000円で選ぶこともできる。高級和食店としては、料理と酒のコストパフォーマンスは驚くほど高い。

ブリ

カツオ

タコの足

ヒラメ
酒肴の前半では、甘エビに塩麹とオリーブオイルを合わせ、刺身の盛り合わせは富山の地元海産物を中心にセビーチェ仕立てで提供。ブリにはトリュフオイル、タコの足には小豆を添えている。小杉さんの酒肴は伝統派ではなく、様々な国の料理における海鮮の扱いと組み合わせ方を融合させていることが明確に感じられた。
アイデアは良いのだが、全体的に味付けがかなり濃く、塩気が前面に出ていて、魚やエビ本来の鮮度と甘みが覆い隠されてしまっていた。同時に料理の温度管理も今ひとつで、続けざまに冷え切った状態で出てきた料理があり、食事の楽しさを一気に削いでしまった。

茶碗蒸し|富山エビ+甘エビの頭

白エビ、ウニ、海苔

サザエ

ブリと鯖のムース
酒肴の後半は徐々に温かい料理へと移っていく。茶碗蒸しは一見素朴だが、エビの頭の鮮やかな旨みは確かに目を引くものだった。白エビとウニの組み合わせは、食材本来の鮮やかな甘みが強いインパクトを持っていた。
しかしその後の日本酒煮のサザエの身は一気に評価を落とし、弾力がまったく感じられなかった。ブリと鯖のムースは塩気が甘みと旨みを圧倒し、バランスを大きく崩していた。そして焼き物は、皿の底に厚く溜まった油がその出来の悪さを物語っていた。

ノドグロ、ホタテ、舞茸

そしてそれらの油
ペアリングについては、種類は多いものの、地域性を強く打ち出しているわけでもなく、料理との相性も見出せなかった。ただグラスに酒を注いだだけ、としか言いようがない。
あえて良い点を挙げるなら、コストパフォーマンスが悪くないという点くらいだ。









その夜のペアリング。中に其中林と勝駒という地酒が入っていた
寿司のパートに入る頃には、すでに10時を過ぎており、店内には我々のテーブルしか残っていなかった。小杉さんは営業を急いで終わらせようとはせず、丁寧に食材を扱いながら、リズムよく寿司を一貫一貫握っていった。








メニューにはその日用意された食材が10種類ほど並び、小杉さんが夕食の進み具合に応じてその中から選んでいく。ヒラメ、マグロ、アジ、ブリ、甘エビと、酸味と香りの効いたもので食欲を再び刺激してくれた。
シャリは甘めに仕立てられており、見た目こそ東京の寿司店ほど美しくはないものの、食べれば個性がはっきりと感じられる。食材の鮮度とバランスの良さが夕食の体験を挽回してくれた。やはり本物の寿司職人だった。
立ち喰い鮨 人人
Tabelog 3.75
🍣3,800/5,400/8,000/15,000
(編集注:富山市公式観光サイトによると、立ち喰い鮨 人人は2025年6月末をもって永久閉店しました。以下は旅の記録として残しています。)
「お昼に寿司が食べたいな」「富山第4位の立ち食い寿司、試してみる?」「よし、行こう!」
人人の予約は、当日の朝、思いつきで決めたものだった。それでも席が取れたのは、日本旅行では期待できないほどの幸運だった。後になって分かったのだが、この店は一回の食事が30分程度で、席の回転が早く、確かに予約が取りやすい店だった。


セットは3,800円と5,400円の2種類(8貫・10貫)。さらに酒肴2品+寿司9貫のミニOmakaseが8,000円、フルコースが15,000円で用意されている。
価格帯は幅広いが、最高ランクのコースでもそこまで高額ではない。200元未満から最高でも750元ほどで、寿司の一通りの体験ができる。まさに『普通の人でも食べられるomakase』と言えるだろう。



トマトレモンサワーはかき氷をその場で削って作るスタイルで、なかなか面白い
価格が手頃だからといって侮ってはいけない。店の実力にはしっかりとした裏付けがある。大将の木村泉美氏の以前の店『鮨し人』は、Tabelog北陸第1位の寿司店(評価4.20)であり、前回版の富山ミシュランガイドで一つ星を獲得していた店でもある(富山のミシュランガイドは5年に一度発行される)。
さらにトップクラスのシャンパンブランドからも認められており、店内には輝くKRUG AMBASSADEのプレートが飾られている。








食事全体を通して見ると、ネタは当然トップクラスの寿司店と比べると一歩譲るが、満足感は価格帯から想像する以上のものがあった。
純粋にビジネス的な発想で組み立てられた寿司体験と言えるだろう。シャリは優しく、テンポも心地よく、いくつかの小さな工夫が随所に光り、食事全体の高揚感がずっと持続していた。30分のランチ、200元未満の価格で、スピードとコストパフォーマンスによって脳内にドーパミンを供給してくれる一食だった。
*****
改めてこの2軒を振り返ると、寿司に対してまったく異なる姿勢を見せてくれた。SOTOは伝統的な料理人としての発想で、より洗練された食事体験を提供する一方、鮨人人は回転の速さと深夜営業を前面に押し出し、的確に満足感を届けてくれる店だった。
個人的には、SOTOはその日の酒肴の出来——温度と味付けのバランスの崩れ、そして日本酒ペアリングとの相性の低さから、もう再訪はしないとはっきり決めた。
一方、鮨人人はふと思い出しては懐かしくなるような店だ。もし北京にこんな店があれば、毎日でもお昼に通いたいと思うほど。次に富山を訪れた際も、きっとまたふらっと立ち寄るだろう。高級和食としてではなく、米と魚の恵みから生まれる、混じり気のない純粋な満足感を求めて。

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