• 京都|遅れてきた秋、京料理と伏見の清酒とともに🥢🍶

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    ずっと京都の秋を体験してみたいと思っていた。

    清水寺の舞台から見下ろす谷いっぱいの紅葉、東福寺の通天橋から見渡す谷間に広がる紅の海、嵐山の遠くまで続く一面の紅葉林、そして本願寺の、金の小判をびっしり吊り下げたような大銀杏。

    京都の秋は、本当に一歩ごとに違う景色がある。

    京都の地図でやや南寄りに位置する伏見エリアは、多くのいわゆる「旅行ガイド」では映え写真が撮れる⛩️千本鳥居ばかりが取り上げられ、そこでの写真撮影が勧められている。しかし実際には、もっとゆっくり時間をかけて歩き回るのにふさわしい場所だ。京都では珍しい「水郷」の気質を持ち、歴史ある生活の街でもあり、同時に京都周辺の酒蔵が集まる地域でもある。

    食べる、飲む、遊ぶという楽しみと、骨の髄まで染み込んだ歴史・文化の気配が、自然に一体となっている。

    産物や歴史、文化的価値を深く掘り下げられる、とても面白い場所だと思う。京都人らしい「頑固さ」を保ち続けていて、これほど観光都市化が進んだ街の中でも、本当に自分自身の気骨を守り抜いている。

    伏見周辺の古い建物の多くには、弾痕や火災の跡といった歴史の痕跡が今も残っている。ここはかつて京都南部の権力の中枢であり、京都と大阪を結ぶ重要な水運交通の要でもあった。同時に豊かな地下水源に恵まれていたことが、周辺地域の清酒産業が長く栄えてきた基盤にもなっている。

    豊かな歴史と資源を持つ土地だけが、優れた酒を生み出せる。

    最も興味深いのは、伏見は小さいながらも一気に21もの酒蔵を抱えていることだ。だからここには水も酒も歴史もあるだけでなく、美味しくて、飲んで、楽しめる場所だと言える。

    一日の行程は、伏見にはちょうどいい長さだろう。

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    🥢魚三楼

    ☀️ 🌙 |💰 JPY 6000++

    🧑‍🍳 歴史と伏見らしさを併せ持つ、正真正銘の京料理店

    📍 京都府京都市伏見区京町3丁目187

    標準的な行程通りなら、朝は千本鳥居で写真を撮る。伏見の目抜き通りに位置する魚三楼は、ランチの第一候補だ。もちろん朝はゆっくり寝ていたいという人でも、京都市街から魚三楼の目の前まで直通のバス路線があり、ここから一日の伏見の行程をスタートさせることもできる。

    これはおそらく、260年の歴史を持つこの店ならではの、他には代えがたい立地の強みだろう。

    先に言っておくと、ここは大きな料亭で、席数にも十分な余裕があり、予約も取りやすい。

    魚三楼のランチがとても気に入った。京料理らしい優雅さ、満足感、そして抑制が効いている。京料理ならではの体験と美意識を兼ね備えながら、細部からにじみ出る伝統料理の神髄も逃さず、ちょうどよい満足感を与えてくれる。

    ランチのセットは「花籠御膳」と呼ばれ、本来は品数の多い会席料理が、ランチでは「花籠」に小さく盛り合わされて登場する。前菜、和え物、お造り、炊き合わせ、焼き魚、揚げ物——どの一皿も、そのエッセンスだけを凝縮して見せてくれる。

    伝統と繊細さ、季節感を兼ね備えている。例えば前菜には笹の葉で包んだ白身魚と、わずかに生の食感を残した栗。椀物にはちょうどよい張りのあるごま豆腐。そして最後には控えめながら確かな技術を見せる和風プリン。どの一皿にも小さな驚きと小さな満足があり、それが見事にちょうどよい塩梅で収まっている。

    夜の会席ほど長くはないが、料亭らしい完成度は少しも欠けていない。

    もちろん、魚三楼の夜には正統な京料理の会席もある。

    京都の料亭が何より大切にする「先に美意識ありき」という姿勢を貫き、包丁使いから盛り付けまで、魚三楼の会席一式はまるで一枚の作品を完成させているかのようだ。同時に旬の料理であることも忘れず、伏水の「中硬水」という性質が料理の旨味成分の表現にどう働くかにもこだわっている。

    土台がしっかりしていて、伝統を貫いている。どの一皿も、正真正銘に美味しい。

    一日の旅の疲れを癒し、腰を落ち着けてじっくり料理を楽しむのにぴったりの場所だ。

    🍶 山本本家

    主要銘柄「神聖」

    歴史:創業1677年(延宝5年)

    ランチを終えたら、魚三楼から商店街とは逆方向にぶらぶら歩いていくと、京都の酒蔵が集まるエリアに出る。

    入り口のブリキのタンクは、実は巨大な発酵タンクだ

    よく知られているように、日本酒の生産量が最も多いのは兵庫県で、第2位が京都・伏見だ。さらに600年以上遡った室町時代には、京都とその周辺には最大350もの酒蔵があったという。

    また、日本の酒造家にとって最も重要な松尾大社も京都にある。

    伏見には酒蔵が多く、生産量も大きい。その一部の酒蔵では、酒蔵見学や博物館という形で、より多くの人に清酒の魅力を伝える試みも行われている。

    山本本家はもともと大手メーカーなので、その見学では教科書でしか見られないようなもの——超大型の精米機、蒸米機、製麹機械、温度管理室、そして巨大なタンクの中で回るギアや発酵中の清酒を目にすることができる。現代の科学技術が清酒造りの工程にどう活かされているかが、目の前で直接示される。建物全体の設計を振り返っても、搬入から一つひとつの醸造工程まで、この建物自体が酒造りのために設計されているのがわかる。

    大手メーカーが与える印象は、間違いなく圧巻だ。

    酒蔵が客に公開している部分は、全部で4つの空間に分かれている。酒造りの建物、

    試飲・展示スペース、販売エリア、そして酒蔵が運営する有名な清酒焼き鳥店「鳥せい」(現在、関西エリアに7店舗を展開)。

    今年はテイスティングの英語対応枠も設けられた。すべて英語の紹介資料と、リアルタイムで英語でコミュニケーションできるスタッフのおかげで、テイスティングの間、酒との距離が一気に縮まった。

    「神聖」と「松の翠」という2つの銘柄はどちらも山本本家に属していて、まさに典型的な伏見の「女酒」といった趣がある。

    伏見の白菊水を仕込み水に使い、鉄分が少なくミネラル感もほどよく、口当たりは丸みがある。考えてみれば、すぐ近くの京料理の、あの優雅でやわらかなスタイルと実によく合う。料理に合わせる酒として、本当に良い一本だ。

    その他にも印象に残る新しい試みがあった。例えば今どきの若者の好みに合わせた柚子酒。酸味と甘み、そして苦味までもがクリーンでバランスよく仕上げられている。

    🍶 月桂冠

    清酒ミュージアム

    歴史:創業1667年

    月桂冠と言えば、まるでコカ・コーラのような存在感だ。

    酒蔵として、月桂冠には自前のミュージアムがある——大倉記念館だ。館舎自体が1909年に建てられた酒蔵を改装したもので、1982年から博物館として公開されている。

    館内は1階のみだが情報密度は非常に高く、6000点余りの古い品々が並び、京都市の有形民俗文化財にも指定されている。展示には酒蔵の古道具や発展の歴史、初期の醸造道具などが含まれていて、予備知識ゼロの旅行者でも、昔の酒がどう一歩ずつ作られていたのかを直感的に理解できる。

    壁一面に清酒関連の文献も展示されていて、酒造技術に関する書籍や実験記録などが並んでいる。

    酒蔵の施設には、いかにも「伏見らしい」細部もある。館内の屋外には、自由に汲める伏水(仕込み水)の井戸が残されていて、清酒の本当の主役が水であることを、客に率直に気づかせてくれる。

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    🍶 伏見夢百衆

    伏見16の酒蔵、80銘柄が集まるセレクトショップ

    お土産探しに最適な場所

    伏見夢百衆は、私にとって「伏見清酒の締めくくりの場所」のような存在だ——特定の酒蔵の歴史や物語に焦点を当てるのではなく、伏見全体の産物をまとめて目の前に見せてくれる。

    カフェのようでもあり、小さな店舗のようでもあるこの場所には、とても面白い日本酒当てゲームがある。1本の酒が渡され、テイスティング台に並ぶ約20種類の酒の中からその正体を言い当てられれば勝ちというものだ。

    酒はすべて伏見地区のものだが、店の酒選びは実に丁寧で、どの一本も銘柄と製法の間にそれぞれの違いをきちんと見せてくれる。さらに面白いのは、店で提供されるテイスティングの酒は毎日変わり、同じ時間帯に来た客でも、テーブルごとにブラインドテイスティングの酒が違うことすらあるという点だ。

    テイスティングエリアを見終えたら、外にあるお土産コーナーも実用的だ。伏見各酒蔵の小物や酒にまつわるギフトが揃っていて、まとめて手に入れられる。

    私にとっては、ここは「ディズニーストア」のような存在に近いかもしれない。伏見に来るたびに、気軽に立ち寄れる場所だ。いくつかの異なる酒蔵を訪ねたあと、夢百衆に立ち寄って「伏見清酒」を改めて総括し、友人たちへのお土産をいくつか選んで、気分よく街へ戻る。

    京都は本当に、想像を超える街だ。

  • 鳥米 京都|嵐山の麓に佇む百年の老舗と、至高の鶏油湯葉

    京都の旅程の中で、嵐山は景色を見逃せない一站だ。山があり、水があり、庭園がある。秋に紅葉が色づく季節は、数え切れないほどの旅行者がわざわざ訪れる景色でもある。

    そのすぐそばに701年に創建された松尾大社があり、今ではすでに1300年以上の歴史を持つ。境内には亀の井の霊泉があり、水と醸造をめぐる独自の信仰の伝統が形作られていて、日本全国の清酒蔵元たちが特に重んじ、長く篤く崇敬してきた重要な古社でもある

    京都のいくつかの古社が「壮大な歴史感」に寄っているとすれば、松尾大社はむしろ清酒とともに呼吸し育ってきた、街の脈々とした流れを貫く老舗の名社に近い。

    「鳥米」は松尾大社の門前に店を構え、1888年の創業から現在まで六代目に受け継がれてきた京懐石料理店だ。

    まるで、この由緒ある山の麓の宝地に店を構えたような感覚だ。

    もともとは、松尾大社を参拝した後の蔵元たちがひと息つくための鶏鍋屋として始まり、看板は比較的「ストレート」で満足感のある鶏料理だった。時代とともに少しずつ進化を重ね、六代目の跡継ぎである田中良典氏のもとで、正式に鶏肉をベースにした京懐石料理へと生まれ変わった。

    端的に言えば、「京都の老舗が現代化していく」王道のストーリーだ。

    田中良典氏の考えでは、京料理が2022年に無形文化遺産として登録されたことを背景に、京料理は絶えず変化を続け、新しい技術を学び続けることを前提として、その歴史を宿した精神を受け継いでいくべきだという。

    そのため店では、器や漆器、空間、食材、料理といった伝統に由来する五感の美学を守りながら表現の仕方、調理法、組み合わせにおいては現代的な要素を取り入れている。

    例えば全国各地の清酒、さらには自家調合の酒を料理に合わせたり、刺身にからすみをまとわせたり、湯葉と鶏油の組み合わせで茶碗蒸しの代わりを表現したりといった具合だ。

    食事の始まりから、ちょっとした驚きがあった。鶏鍋から始まった料理店なのに、八寸がきっちりと整えられている。葉の下に隠れた鶏肉のつくねは、ふんわりとした柔らかさで実力を証明し、番茶漬け鮎はふくよかさの中に優雅さがあり、筋子に大根おろしを添えたものは格別に爽やかで、さらに鯖の押し寿司もちょうどよいバランスだった。

    合わせた酒は、なんと京都地元の蔵元・金鵄正宗の原酒を自家の木樽で25日間熟成させたものだった。ちょうどよい木の香りとミルキーさが際立っていて、八寸のどの一品とも実によく合っていた。

    晩秋から初冬にかけての向付には寒鰤烏賊が選ばれていたが、どちらにもそれぞれの工夫がある。前者は今の時期はまだ脂が十分に乗っていないことを考慮して1週間熟成させ、身の柔らかさで脂をより優しく感じさせている。後者は薄くからすみをまとわせていて、熟成の旨味が柔らかな甘みを包み込み、酒の肴として絶品だった。

    合わせた酒には「梵」純米55を使用。米の旨味がクリーンで、脂の香りと海の塩気・旨味をより立体的に引き立てていた。

    鶏油と湯葉の組み合わせは、「絶品」の一言に尽きる。

    黄金色に輝く鶏油の下にあるのは、京湯葉「ゆば庄」の特別な湯葉だ。口に入れると、チーズにも似たわずかな糸引きと豊潤さがありながら、重くはなく、むしろ澄んでクリーンだ。温かさが大豆の香りをゆっくりと開かせ、鶏油がさらに深い旨味と甘みを引き出し、余韻にはほんのりとした回甘が残る。

    騒がしくはないのに、食べれば食べるほど納得させられる——そんな「京都らしい静かな美味しさ」だ。

    ここに合わせたのは石川県「竹葉」秋酒で、その円熟感とやわらかな米の旨味が、鶏油の豊かさをちょうど受け止めてくれる。同時に酸味とキレのある後味が、湯葉の大豆の香りと回甘をより爽やかに引き立てる。

    酒選びのセンスが実に鋭く、相性も満点——また一つ、脱帽させられた。

    焼き物には鴨の炙り焼きが登場。皮の色を見ただけで期待が高まり、美しい燻香が漂ってくる。肉質にはわずかな野性的な張りがありながらも粗さはなく、かすかな甘みが輪郭を引き締め、料理全体を抑制の効いたバランスに見せている。噛むほどに層が現れ、風味は一気に弾けるのではなく、ゆっくりと広がる余熱のように、じわじわとにじみ出てくる。

    合わせたのは金鵄正宗の「藤袴」。インパクト重視の路線ではなく、柔らかく寄り添うような支え方をする——まるで着物と帯のように、一方が輪郭を引き締め、もう一方が気韻を補い、互いを引き立て合っている。

    この店の原点である鶏鍋は、一杯の鶏スープから始まる。自家飼育の鶏の頭と脚でとったスープは、ミルキーさに加えてほのかなとろみもある。合わせて燗をつけた金鵄正宗の「銀閣」が出され、女将から少しスープに垂らしてみてはと勧められた。旨みと香りが重なり合い、味わいがより豊かになった。

    鍋で煮る豆腐には嵯峨豆腐の老舗「森嘉」の絹豆腐が使われていて、口の中でふわりと軽やかでありながら、香りは少しも損なわれていない。

    鶏肉を鍋できれいに食べ終える頃、ちょうど釜飯も蒸し上がる。

    女将が鍋の底を再び煮立たせ、まず白飯をスープの中に移し、しゃもじの背でそっとほぐしていく。そのあとテキパキと溶き卵を用意し、鍋の縁に沿って2〜3回に分けて細く流し入れる。卵がふわりと広がるにつれ、スープの表面は乳白色から柔らかな金色へと変わっていく。再び蓋を開けたその瞬間、湯気がふわりと立ちのぼり、鶏スープの香りが米の甘さをまとって鼻先に届く。

    食事の合間に酒を楽しむタイプの店にとって、雑炊はまさに最高の主食だ。

    濃厚で、柔らかく、温かく、胃にじんわりと落ち着く。

    よく考えてみると、この一食はもしかしたらあまり「型通り」な京懐石とは言えないかもしれないが、全体を通して心地よく、面白く、そして見応えもあった

    店主の伝統と現代の組み合わせ方がとても気に入った:京野菜と旬をキーワードに、どの一皿にも明確なコンセプトがあり、表現も的確で、中には誰も思いつかないような組み合わせもある。

    さらに松尾大社の門前という土地柄もあって、主厨は幼い頃から清酒文化に育まれてきた。彼の料理スタイルは一般的な京料理よりも少し「重め」だが、それが彼の目指すペアリングにちょうど適している。清酒の選択肢は京都から全国へと広がり、マイナーな蔵元まで含まれていて、組み合わせ方にもより幅がある。

    京料理という枠の中にしっかりと足場を置きながら、日本全国の清酒に向けて料理の懐の深さを示している。

    女将のもてなしの技量も、この食事の見逃せないハイライトだった。よく話す方だが、決して出しゃばることなく、さりげなく客の細部まで気を配ってくれる。

    穏やかで優雅、そして大らか。言葉の端々には確かな知識と絶妙な距離感がある。細やかな心配りの数々に、思わず京都の女性の「凄み」を実感させられた

    「これから京都に行くたびに、また訪れる機会があればいいな」

    京料理 鳥米

    昼11:00~15:00(L.O.15:00) 

    夜17:00~22:00(L.O.21:00)

    https://www.toriyone.com

    Lunch Menu  ¥1,1000 ++

    Dinner Menu ¥1,6500++