• 佐賀の田舎で味わう、実に丁寧なフレンチ

    福岡から佐賀まで、車でわずか一時間。小説から抜け出してきたようなこの土地は、本当に物語の中と同じくらい澄んでいて、そして丁寧だった。

    訪れたのは「レストランカズ」。生産者と食材の産地により近づくために、自ら小さな町へ移り住んだレストランだ。

    店は唐津の住宅街にある日本家屋の中にあり、夫婦二人で営んでいる。

    主厨は福岡で二十年営業した後、この地へ店を移した。玄界灘の魚、佐賀の野菜、そして日々関わる生産者たちに、少しでも近づくためだけに。

    器もすべて有田焼、伊万里焼、唐津焼で統一されている。

    幕開けから実に「フレンチ」だ。地元の魚から取った澄んだスープが最初の一皿として登場し、フレンチのブイヨンらしい層のある濃度を持ちながら、食材本来の清らかな甘みと余韻もしっかり残している。

    キャラメルのブリュレは思いがけない驚きをもたらす。デザートのような見た目の下に、より豊かな風味の構造が隠れている。チーズが口の中でゆっくりととろけ、乳の香りとほのかな花の香りが幾重にも広がり、直接的でありながらも優しく繊細な表現だ。

    🧅と🐚の組み合わせは、期待をはるかに超える驚きだった。

    長時間かけて柔らかくしたオニオンをピュレにし、甘みを余すことなく引き出している。濃厚でありながらしつこくない。サザエはわずかな歯切れの良さと弾力を保ち、食感を支えている。そこに葱油の火を通した香ばしい脂の気配が加わり、全体に一段深みが増す。

    それぞれの味は独立していながら、組み合わさると意外なほど調和している。それぞれに個性がありながら、互いを引き立て合っている。キャビアの扱いも見事で、全体の味わいをバランスの取れた地点へと引き戻している。

    続いて、そら豆のパンは店の看板メニュー。ナンに似た形をしていて、外側はやや張りがある。柔らかく、弾力があり、ちょうどいい穏やかな香りをまとう。

    鯖は強めに燻され、蓋を開けた瞬間に香りが一気に立ち上る。儀式感たっぷりだ。身の質感は実にしっかりとしていて、明確な肉感と脂の厚みがあり、噛むほどにじわじわと味わい深い風味を放つ。

    イカには白アスパラガスのソースが添えられる。海の旨みと春野菜の清らかな甘みがここで重なり合い、海産物の弾力と野菜の柔らかさが同居し、この季節にしか出会えない風味を見せてくれる。

    一期一会の美しさがある。

    穴子はごぼうで巻かれ、春巻きのような形に仕立てられている。おそらく五香粉が少し加えられているためか、全体に肉感の厚みが一段加わり、香辛料と脂が絡み合ったミートパイのような風味さえ感じさせる。食材とのギャップが意外だった。

    真鯛はウェリントン風の構造に仕立てられている。サクサクの皮の下では、紫蘇と海苔の香りが魚の旨みを美しく引き立て、締まった身とハーブの香りの間に心地よい対比が生まれている。

    添えられたソースは意外にも甘口で、一皿の風味をより完結させ、これだけ大きな一切れの魚肉を食べても単調に感じさせない。

    メイン料理の完成度はやや一段落ちる。九州産鹿肉、網脂のソーセージ、発酵紫キャベツ、プラムの組み合わせは、食材リストから想像される通り、一つの全体として本当にまとまることはなかった。

    風味の面ではさほどの驚きはなく、食材そのものの質感と、咀嚼による満足感に頼る部分が大きい(もっぱら歯の仕事)。

    「甘い醤油、わりと好きなんです」

    甘さを一貫した風味の軸としてきたこの主厨が、プレデザートの部分ではフキの苦みを使って見事な転換を見せるとは思わなかった。

    あの野性味を帯びたほのかな苦みが、味覚を改めて開かせてくれる。

    メインのデザートは、酸度の高いソースと柔らかな質感、香り高いいちごで締めくくられる。酸味と甘みの対比が全体をより清々しく感じさせ、食事が終わる頃には、田園に身を委ねるような自在さと寛ぎを覚える。

    田舎における、なかなか良い一軒だった。

    Restaurant Kazu

    Friday – Monday

    12:00 – 15:00|18:00 – 22:30

    (Reservation required)

    Chef’s Menu ¥22,000++