1月の日本は新年の祝祭ムードに包まれている。多くの馴染みの店では「明けましておめでとうございます」という言葉が流れるように交わされる。しかし、新年の雰囲気を料理と空間の両方に本当に織り込んでいる場所といえば、やはり懐石料理店がその本命だ。
今回訪れたのは、新年の余韻が漂う時期の赤坂 尾ぎの。2020年開店、2023年の食べログアワードで「ベスト新人賞」を獲得し、その後も安定した銀賞を維持している店だ。
多様な経歴をもつ現代の東京の料理人たちと比べると、尾ぎの大将の歩みは実に一本筋が通っている。嵐山 吉兆から始まり、銀座 小十系譜の二店を経て、自身のカウンターへ。正統派の和食という道を、ひたすら垂直に深掘りしてきた職人だ。
その血筋が生み出すのは、説明不要の古典的な格調だ。
蕪だし|白甘鯛|百合根
ディナーは大将が鶴の形の器から各席に濁り酒を注いでくれる場面から始まった。「酒に祝いを注ぐ」という行為がそのまま新年の主題と重なり、完璧な幕開けだった。
最初の一品は宝船の器に盛られ、より祝祭感を高める。蕪、白甘鯛、百合根は非常に抑制された味付けで、しかし風味と食感は層を重ねながら展開する。静かで、洗練されていて、噛むほどに変化する。ひと口の中に伝統と品格が静かに宿っていた。
伊勢海老|ブロッコリー|林檎ジュレ
松葉蟹のお椀
新年の視覚言語は器にも続き、次のひと皿は鶴の文様で届いた。伊勢海老は約20%の火入れで、柔らかく甘みが深い。海老の卵と林檎酢のジェルに包まれ、澄んだ旨みと明快な酸味が美しく交錯する。
口直しの漬物が鮮烈な食感と酸味のアクセントを添え、非常に優れた一品だった。
お椀は松葉蟹のしんじょうに餅を重ねた構成で、食感と見た目の両方から正月のシンボルを補強する。予想外にも、餅の絹のような柔らかさが、しんじょうのふわふわとした弾むような蟹の風味と完璧に呼応していた。口当たりは澄んでいて、後味は丰かだ。
稲藁炙りの鯖|隠岐のイカ
尾ぎののカウンターは、客と厨房の距離が異様に近い。だからこそ、技の瞬間がダイレクトに届く。稲藁に火を入れて鯖の皮目を炙る場面は、目の前で炎を見て、香りを感じ、そして口に入れたときに「煙が調和に変わる」という体験になる。
漬けマグロ|卵黄醤油|海苔の佃煮
次は山芋のすりながしと卵黄醤油を添えたマグロ。すき焼きを生卵で食べるときの幸福感に近い、濃密で深みのある満足感だ。
この店は「満足感」という言葉をまっすぐな方法で引き出すのがうまい。しかし決して重くならない。料理は軽さと豊かさの間にある、非常に細いラインを歩いている。
いまはまだ「この店はすごい」という絶対的な確信を抱くほどには通い込んでいない。でも、次の季節にもう一度訪れてみたいという気持ちは自然に芽生えた。それが正しい感覚だと思う。
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