浅沼へ行く前から、この店には興味があった。
日本橋の小さな店。2022年開業、すでに食べログで🥈銀賞を二度連続受賞している。師弟関係や古き良き職人のイメージが強い天ぷらの世界で、若き浅沼の存在は際立って見える。
言ってしまえば、独学で東京三位まで駆け上がった人だ。

浅沼努武シェフは1994年生まれ。18歳で高校卒業後、山形から上京し「銀座天一」へ。帝国ホテル店、日本橋高島屋店を経て……そのまま独立した。
スタイルは明快——衣を食べさせる天ぷら。
食材ごとに衣の配合を変え、ごま油で揚げる。衣・食材・天つゆが一体となって味を作る。



開幕は迷いなく🦐🍤🍤から。
黄金色の海老トーストが先陣を切る。食パンで海老のすり身を包んだもので、割ると酥脆な殻の後に柔らかな海老の身。外は香ばしく揚がっていながら中の柔らかさは失われておらず、サクとふわのコントラストがそのまま伝わってくる。
続く海老天は二尾。そのまま食べれば海老自体の甘みが、塩を添えればその甘みがよりはっきりと、天つゆにつければさらに旨みの層が加わる。私は天つゆの方が好みだった——衣が天つゆの良さを引き出している。



𬶮魚(きす)も同様。サクッとした衣に天つゆをつければ十分な香りと旨みが立ち、中の身は細かく柔らかい。食材自体は上質というわけではないが、衣だけで十分に場を支えている。
野菜が本当の主戦場になってきた。
表面はうっすら酥脆、中は丸みを帯びてみずみずしい茄子。衣を破ると、中身はまるで蒸したてのように開いていく。塩を少し添えるだけでちょうどいい。
しいたけも見事。とても柔らかく、わずかな歯ごたえを残しながら、噛むと少しの汁とともに甘みと旨みがゆっくりと広がる。強い香りで印象を奪うタイプではなく、淡く心地よい味わい。

とうもろこし🌽
この日いちばんのお気に入り。素朴で、そして見事。
フルーツコーンを上に、甘みの強いコーンを下に重ね、薄い衣で軽く揚げている。みずみずしさと甘み・食感の異なる層が重なり、とうもろこしの香りも十分。本来は別々の籠に分けられている食材を、薄い衣一枚で巧みに一口にまとめている。
記憶に強く残る一皿。あと十個は食べられる。

パプリカの印象もあなどれない。
普段パプリカの「おいしさ」といえば「パリッとした食感」が条件になりがちだ。
けれどここで揚げると、もちもちとした食感に変わる。中心にわずかに残る衣が果肉と絡み合い、柔らかく香り高い。
ここまで食べると、浅沼の野菜への理解には確かなものがあると感じる。茄子のみずみずしさを残し、しいたけの柔らかさを際立たせ、とうもろこしの甘い食感を組み合わせ、パプリカは独自の方法でもちもちとした食感に仕上げる。



海鮮に戻って、キス、はまぐり、イカ。
食材の鮮度は、銀賞クラスという評価軸の中では決して強みとは言えない。ただ、仕事ぶりには光る瞬間がある。
例えばイカはしっかりとした弾力ともっちりとした食感を両立させ、中心にはわずかに透明感のある生の部分も残っている。厚みも噛み応えも十分で、中心は十分に柔らかい。火入れが見事。
ホタテはより直球。とても甘く、とても柔らかく、鮮度も良い。衣を薄くすることで、食材そのもののシンプルな満足感が前に出てくる。



ただ、天ぷらを食べる上で、まっすぐな喜びと脂の満足感が立て続けに重なると、後半はさすがにこたえてくる。
この日の締めがまさにそれだった。小さなじゃがいもと穴子の衣はどちらもやや力が入りすぎていて、厚みがあり、やや脂っこい。天丼の存在感がさらに重くのしかかる。


全体として、光ったのは野菜で、衣には確かなアイデアがある。だが魚介の使い方は決して良いとは言えない——アイデアと技術はあるが、食材が伴っていない。
サービスにも首をかしげる場面があった。断ったはずの品がいつの間にか追加されていたり、日本酒のリストがわかりにくい中で「料理に合う一杯を」とお願いしたところ、まったく関係のない高価格帯の一本を強く勧められたりした。
あまり印象の良いやり方ではない。
さて、料理そのものに話を戻すと——
一皿単位の火入れは美しくても、コース全体を通すと必ずしも心地よいとは限らない。前半の変化や新鮮さが後半まで続かず、代わりに油の香り、衣、満腹感だけが喉元に積み重なっていく。
最初はおいしく、終わりはあまり芳しくない。
一度試してみる価値はある😈。
天ぷら 浅沼
月・火、木〜日
12:00 / 18:00
シェフズメニュー ¥19,000 ++

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